おもちゃの日常

胸に乳首に優しく触れる指先と舌。
いつものように噛まれたり、強く摘まれたりすることもない。
中に入れられる指も優しくて、感じるところをゆるくゆっくり撫でていく。
合間に繰り返されるたくさんのキス。
気持ちいい、ただ心地よくて優しくてふわふわと気持ちいい。


週末の三日間を彼と一緒に過ごして今日帰宅。
三日目の夜に、何だか久しぶりにごく普通のセックスをした。

彼と普通のセックスをすると、なぜかとても恥ずかしくなる。
恥ずかしいことも痛いことも彼となら何でも気持ちいいし幸せなんだけど･･･
ただのセックスは別の意味で恥ずかしい。
彼が優しく優しく私に触れるから、恥ずかしくて彼の顔が見れなくていつも目が開けられない。
それに、優しく触れられるのは少し怖い気がする。
自分にはそんな風に優しく普通に触ってもらえる価値なんてない気がして。
彼は絶対にそんなことは思ってないし、私を尊重してくれてるのもわかってるのに。
自分の中の劣等感はなかなか消えてくれない。

でもやっぱり彼にそんな風に扱ってもらえるのはすごく心地いい。
彼とＳＭをやってるときの快感は、理性が焼き切れるようなどこかおかしくなりそうな快感。
でもこうやって優しく触れられるときは、ふわふわ気持ちよくて暖かな感覚。
どちらも好きだし、どちらも嬉しくて幸せ。

彼は私と出会ってキスが好きになったって言ってくれた。
私の唇が柔らかくて好きだって。
だから私達はＳＭをしてても、普通のセックスをしててもたくさんキスをする。
たくさんたくさんキスをして痛いことも恥ずかしいこともたくさんして、そしたらいつか普通のセックスをしてるとき彼の顔を見ることができるだろうか。
彼のキスはいつか私の劣等感を溶かしてくれるだろうか。
もちろん全て彼任せではなくて、私も頑張らなきゃいけないけどね。

いつか、幸せが怖いと思わない日が来るといいな。